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膀胱腫瘍

膀胱がんは比較的よくみられる泌尿器科領域のがんです。 多く(約80%)のものは、膀胱粘膜表面に発生し、イソギンチャクのような形態をしています。

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多くは血尿で発見されます。通常、排尿時痛などの痛みや、排尿困難などの症状はありません。 健康診断や他科受診中に超音波検査などで偶然見つかることもあります。 進行すると血塊が詰まり排尿ができなくなったり、貧血になったりすることもあります。


まず尿検査を行い血尿の有無を確認します。その後、尿細胞診、膀胱鏡を行います。
膀胱鏡で膀胱腫瘍が発見されると、その腫瘍の膀胱壁への深さを調べるためにMRIを行います。また必要に応じてCTなどで転移の有無を確認します。
膀胱鏡検査は経尿道的に行う検査ですが、当院では男性には軟性膀胱鏡を使用しています。これまでの金属製の膀胱鏡より検査にともなう痛みが格段に少なくなります。尿道にゼリー状の麻酔薬を注入し、外来検査として即日行うことができます。

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(左)硬性膀胱鏡と(右)軟性膀胱鏡です。

TURBT

膀胱鏡で膀胱腫瘍が確認された場合、入院し手術を行います。
経尿道的膀胱切除術(TURBT)は尿道から内視鏡(硬性鏡)を挿入し、腫瘍を観察しながら電気メスで腫瘍を可能な限り切除する手術です。所要時間は腫瘍の大きさや場所、個数などにより異なりますが、15-60分程度です。

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・電気メスで膀胱内に突出した膀胱腫瘍を切除します。

・表在性(浅い)のがんであればこの治療で治癒切除できます​。

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​BCGなどの薬剤を膀胱内に注入します。

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切除した腫瘍は病理学的検査を行い、腫瘍がどのような性質(良性・悪性の判断)か、がんであれば膀胱壁のどれくらいの深さまで到達しているかなどを評価します。この検査は病理医によって行われ、2週間程度要しますので退院後に外来で結果をお伝えします。
 

膀胱がんの場合には、画像検査、病理検査の結果から病期が決まります。転移がなく膀胱壁の浅い所までしか到達していない(粘膜下組織まで)場合は、基本的には数ヶ月に一度再発がないかどうかの確認を行います。しかし、病理検査の結果、再発の可能性が高いと思われる場合は外来で膀胱内注入療法を行う場合もあります。この膀胱内注入療法は、膀胱がんの再発を予防する目的で行い、BCGや抗がん剤が使用されます。


膀胱壁の深い所までがんが到達している(筋層浸潤癌)ものの、画像診断で明らかな転移がない場合は、膀胱全摘除術が第一選択となります。手術の前に、腫瘍縮小目的に抗がん剤治療を行うこともあります。手術は、男性の場合は、膀胱・前立腺・精嚢・骨盤内リンパ節の摘出を行います。女性の場合は、膀胱・子宮・膣の一部・骨盤内リンパ節の摘出を行います。膀胱全摘除術時には尿路変向術も行い尿を体の外に出す経路を作ります。尿路変向にはいくつかの方法があり、がんや患者さんの状態を考慮しながら決めていきます。


転移のあるがんの場合には、薬物療法を行います。ガイドラインに基づき、抗がん剤での治療を行い、効果がない場合や再発した場合には免疫チェックポイント阻害薬の治療を行います。

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