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腎腫瘍(腎がん・腎のう胞)

腎臓は血液から尿を産生する臓器です。ここでは腎臓の主な腫瘍性病変である腎細胞がんと腎のう胞に関してのみ述べます。

昔は、腹痛、血尿、腹部に腫瘤をふれる、などの症状があるとされていましたが現在では健康診断の超音波検査や、他の病気で受診した際のCT検査などで偶然発見される機会が増えました。
しかしながら一方で無症状で長い間経過してかなり大きくなったり、すでに転移のある状態でみつかる場合も少なくありません。

腎がんが疑われた場合には、造影剤を用いたCT検査を行って腫瘍の性状を判断します。他部位のがんが疑われる腫瘍では、針生検を行って腫瘍の一部を採取してがんかどうか病理学的に評価してから治療にうつるものもありますが、腎がんの場合には通常の検査としての針生検は行っていません。

治療は手術療法が基本になります。

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腎臓にとどまる腎がん
4cm以下の腎がんの場合、腎の部分切除が行われることが多くなります。それ以上のサイズの場合には根治的腎摘除術が行われることが多くなります。しかし、手術時点で単腎であったり、もう一方の腎臓の機能障害があるかたなどでは4cm以上の腎がんでも部分切除を行うこともありますし、4cm以下でもがんの部位によっては腎摘除術を行うこともあります。
当院では、部分切除術も腎摘除術も基本的には腹腔鏡手術で行っています。ただし、腫瘍の大きさや隣接臓器へ浸潤がある場合などでは開腹手術での腎摘除術を行います。腹腔鏡手術では、入院期間は5-6日程度、開腹手術では7-14日程度となります。

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​小さな腫瘍は腫瘍およびその周囲

だけを切り取り、腎臓を温存します。

大きな腫瘍は周囲の

脂肪を含め腎臓全体

を摘出します

転移のある腎がん

転移のある状態で見つかった場合でも、全身状態が良好であれば腎摘除術を行い、その後に薬物療法を行ったり、転移巣も単発で切除可能であれば 手術や放射線で治療を行ったりします。
薬物治療としては、現在では免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬と呼ばれる薬剤を使用することが多くなっています。ステージや患者さんの状態によって、これらの薬を組み合わせた治療を行うこともあります。
免疫チェックポイント阻害薬とは、がん細胞に発現する免疫チェックポイント分子を標的として、がん細胞に対する免疫応答を高める薬です。点滴での投与になります。
分子標的薬とは、がん細胞に特異的に発現する分子を標的とした薬です。腎癌の場合は、多標的阻害薬やセリン・スレオニンキナーゼ阻害薬が適応となっています。内服薬での投与になります。
腎がん治療においては、いかに効果のある薬を副作用をコントロールしながら継続的に使用できるかが重要になります。 表に示すように現在では様々な薬があります。それらの転移の部位や状態による使い分け、あるいはそれらの薬を使用する順序などは現在でも議論 のあるところで日々新たな知見も出てきている状況です。使用にあたってはよく担当医と相談してください。
以前頻用されたサイトカインによる薬物治療は、現在使用頻度が減少しています。ただし、肺転移のみの症例や、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬が使用できない患者さんには適用されることがあります。

現在(2022年8月時点)本邦で転移のある、もしくは切除不能な腎がんに使用可能な分子標的薬です。

サイトカイン療法に用いられる各種治療薬です。

腎のう胞は、腎臓のできものの中で最も頻度の高いものですが、悪性ではありません。腎臓にできた、液体の貯留した袋状の腫瘤です。
エコー検査やCT検査で判明します。
年齢とともに頻度は増加しますが、多くは無症状で治療の必要はありません。

しかし、大きくなって痛み(腹痛、腰痛)を伴う場合や、腎臓の部屋(腎盂、腎杯)や尿管を圧迫して尿流を阻害するような場合には治療の対象になります。
治療には、硬化療法や腹腔鏡手術による開窓術などがありますが、硬化療法を行うことがほとんどです。

腎のう胞 硬化療法

うつぶせの体制で腎のう胞をエコーで観察しながら背中の皮膚から針を刺し、のう胞の内容液を吸引した後に、エタノール(アルコール)やミノマイシン(抗生物質)、二酸化炭素などを注入してのう胞の内容液を分泌する細胞を殺し再発しないようにします。

局所麻酔、15分程度の処置です。

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​腎のう胞 硬化療法前

​腎のう胞 硬化療法後

​腎のう胞は著明に縮小しています

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